「確かに、全治2か月なら予選には間に合わねぇよ!! だけど!! だけど、夏の全国大会には出られるだろ!!」


コウちゃんは、グッと目を見開いた。
 

ハラハラハラと、大粒の涙を転がしながら。
 

私も、口元に手を当てて泣いた。 


「必ず予選突破してみせるから!」


「......ック」


コウちゃんが、声を押し殺して泣いている。 


「だから、おまえも諦めんなよ! おまえのサッカーはまだ終わりじゃねぇんだよ!!」


涙を我慢する徳永くんが、声を絞り出す。


コウちゃんは、もうバランスをとれなくなったのか、静かに涙を流しながらふらつき始めた。


それをすぐさま支えたのは、副キャプテンの徳永くんだ。


男ふたりの涙声が、賑やかな祭りの雰囲気に馴染んでいく。


コウちゃんが、どれだけ悔しかったのか。


その悔しさを、どうやったら無くすことができるのか。


それぞれ考えて悩んだ結果が、これだったんだ。


予選突破して、全国大会に出る。


コウちゃんの夢だったインターハイ。


ふたりの絆がとても深くて、涙を堪えることはできなかった。


とても嬉しい。


コウちゃんの心の傷は、コウちゃんひとりだけのものではなかったんだよ。