私が死ぬ時──?




そんなことを考える時点で私はもう私であって、私では無くなっているのだろう。




「……もう、私自身も奪われてるんだね」




そう呟いたときには外に出ていて、冬が近付く冷たい風が頬を撫でていった。




冷たい風が撫でていったのに、頬は暖かい。




自分が泣いているのだと気付かないまま、私は髪を纏めて、ウィッグを被った。



さて、戻ろうか。



全てを奪った蓬條の元へ──。