白い雪が降り積もるように

≪玖下side≫




依良様が刺される──。




助けに行こうと手元の≪それ≫を掴むと依良様へ襲いかかる男の方へ駆け出した。




ナイフが依良様の腹部に刺さる、そう思った瞬間。




男はナイフを握ったまま屋敷側の壁へとその身体を叩きつけた。





自分からではない。




何処からか受けた横殴りの蹴りで、飛ばされたのだ。




「依良様、ご無事ですか？」




そう告げたのは篠田さんだった。





彼が男に横殴りの蹴りを食らわせたのだと理解するのに時間はかからなかった。





間近で彼の蹴りを見た依良様もさすがに驚いたのか、目を見開いていた。