あれから庭に出ておやつの時間にしようとしたのだが、天気は良いものの気温が少し外に居続けるには寒かった。



そこで、場所を中庭にあるサンルームへと移した。




「美味しー!」




頬に生クリームをつけながらケーキを頬張る紗也様に、蓬條依良は呆れたように彼女の頬を拭ってやっていた。




「紗也、少しゆっくり食べな」





「だって、玖下さんの作るお菓子美味しいんだもん!」




諭すようにいう兄に対し、紗也様はゆっくり食べる様子は見られなかった。




そんな紗也様の姿に諦めたのか、彼は持ってきた本を読み始めた。




そう、今紗也様が食べているケーキは玖下さんの手作りだ。