「依良様、朝にございます。起きてください」
うわー、イケメンボイスで朝目覚めるとか乙女ゲームみたい。
玖下さんに声をかけられ、ベッドの中の彼はうっすら目を開けた。
「ん……、朝……?」
少しだけ身体を起こすと、寝間着代わりに着ているTシャツの隙間から鎖骨と程よく鍛えられた胸板が見えた。
それに加えて、乱れた髪や寝惚けているから妙な色気を醸し出している。
……世の女性はこれを見て、どう反応するだろうか?
私も女だけど、憎い感情しか浮かばないからこの姿を見ても何とも思わない。
蓬條依良は前髪をクシャクシャと掻き回すと身体を起こし、ベッドの上に座った。
「おはよう、玖下。それに、篠田君も」
「おはようございます、依良様」
「おはようございます」
玖下さんと一緒に頭を下げた。



