「嘘つき……」 「誰が嘘つきだって?」 すると、後ろから懐かしい声と共に懐かしい温もりが私を包み込んだ。 あぁ……、この声と温もりは……。 溢れそうになる涙を堪えながら振り向くとそこには彼がいた。 「依良……」 名前を呼べば、彼は穏やかに笑った。 「おかえり、冬雪」 愛しい人の姿に涙はとうとう溢れ落ち、私は依良の首に手を入れて回すように抱き着いた。 それに答えるように彼も抱き締め返してくれる。 「ただいま、依良」