「此処まで連れてきて勝手だけど、君は君の選んだ道を生きて……」
「何言ってるの?私は──」
「俺は君が選んだ道なら反対しないよ。たとえ、君が俺の傍からいなくなってもね」
蓬條依良は私に背を向けると、来た道を戻るように歩き出した。
そんな彼の背中に、私は勢いよく抱き着く。
予想外な私の行動に彼は受け身が取れずに、私達は絡まるようにして雪の上に倒れた。
「いっつ……。君、何す──っ!?」
蓬條依良は雪に倒れた痛みに顔をしかめて抗議してきた。
でも、全部言い終える前に私は彼の口を自分のそれで塞いだ。
唇を離せば、彼は驚いたように私を見ていた。
「何故、私の傍にいるって言ったのに、貴方から離れていくの……っ!私を一人にしないって言ったじゃない!」
堰を切ったように涙が溢れてきた。
涙が彼の頬に落ちては弾けて、落ちては弾けてを繰り返している。



