白い雪が降り積もるように



「その願い、俺が叶えますよ」




ふと、聞き慣れた声がした。




振り返るとそこには蓬條依良がいて、その後ろには玖下さんの姿もある。




「次の日曜日、此処で春陽さんと貴方の式を行いましょう。費用は全て蓬條で持ちます」





「え、ちょっ……」




「では、これで」




蓬條依良はそれだけ言い残して、病室から出ていった。




私は拓実さんに待っていて貰って、彼を追いかけた。





「ちょっと!アンタ、何言ってるの!?あんな状態のお姉ちゃんを扱ってくれる所なんて……」





「母さんのいとこに蓬條のブライダル部門の担当がいる。次期頭首の俺の頼みだったら快諾してくれる。玖下、先に行って那織さんにアポを取って」





「畏まりました」





玖下さんはスマホを取り出しながら歩き出すと、何処かへ電話をかけるため去っていった。