「……他の人は知らないけど、私と依良様は幼なじみなのよ」




「幼なじみ?」





「そう。家が近所だったんだけど、親が借金作って心中を図ってね。生き残った私を依良様が紗良様に頼み込んで、この家に置いてくれたのよ」




「じゃあ、私と同い年の弟さんって……」




「≪生きていたら≫同い年だったの」




悲しそうに笑いながらも明るい千早さん。





私と同じ境遇だと言うのに何故、こんなに明るいのだろう?





自分以外の家族を失ったのに、前向きに生きている。




こんな人が彼の想い人だったら良かったに……。




そうだったら、私は喜んで身を引くのに。