「不快にさせるかもしれないけど、僕の過去を話しても良い?」 不快になるはずがない。 これまで私を警戒して、自分のことを話そうとしてくれなかった彼が話そうとしてくれているのだ。 私はその話を聞くべきだ。 「構いません。話してください、玖下さん……」 そう答えれば玖下さんは苦笑いを浮かべて、ポツリポツリと話し始めた。 彼の悲しい過去の話を──。