私は知らぬ間に彼を好きになってしまっていたんだ。 誰よりも優しくて、誰よりも人の悲しみを理解し、誰よりも死を望んでいて、誰よりも強くて弱い。 私が誰よりも憎む女の息子……。 そんな彼、蓬條依良に私は恋に落ちてしまっていた。 ごめんね、お父さん。お母さん。 秋葉とお姉ちゃんもごめんね。 私はもう復讐出来ないかもしれない。 彼を殺すことはもう私には出来ないかもしれない──。