「でも……、こんなに傷ついたのに、冬雪姉のことも依良さんのことも嫌いになれない……」
秋葉は窓の外に視線を移した。
空は雪が降りそうな位厚い雲に覆われていてるけど、風がなく穏やかだった。
「嫌いになれないのに……、嫌いになってしまいたいって思うの……。だんだん心が……私が私じゃなくなっていく気がするの……」
すると、秋葉は車椅子の肘置きに手をかけると腕だけで身体を浮かせて、窓の桟に寄りかかった。
「秋葉……?」
「もう何も分かんないよ、冬雪姉……」
震える声でそう呟くと、ゆっくりともう一度私達の方を向いた。
秋葉はあまりにも悲しそうな顔で笑っていた。
もう秋葉が何をしようとしているか分かってしまった。



