摂紀の運転で自宅に帰り、自室に行くとローテーブルに置き手紙を発見する。
内容に目を通せば、俺はすぐさま部屋を飛び出した。
向かう先は屋敷の中にある東屋。
「律生……」
持ってきた手紙を握り締め、走る速度をあげる。
その置き手紙は律生からで
≪二人だけで話がしたい。助けてくれ、依良≫
と書かれていた。
律生に何があったかは分からないけど、一刻も早く向かわないと……。
こう急いでいるときほど、我が家の広さが煩わしく感じる。
しばらく走って東屋に着くと、ベンチに腰掛ける律生を見つけた。
「律生!」
名前を呼べば、律生は顔を上げて俺の方を見た。
肩で息をしていると律生はベンチから立ち上がって、身体をこっちに向ける。



