蓬條への復讐を遂げる……。




それが済めば、私はこの世に未練はない。




蓬條に歯向かったものの末路は分かっている。




ならば、私は自ら命を経つことを選ぶだろう。




「俺を殺すなら殺せば良い。でも、君は死なせないし、復讐なんて罪を犯させないよ」




つまり、蓬條依良は復讐されることは構わないが、私には罪を犯させない。





矛盾している気がするが、何故か彼ならその矛盾さえも正論にしているように思える。






「だからさ、今くらい泣いて良いよ」




頭を優しく撫でられると涙腺が壊れたように、涙が溢れてきた。





やはり、あの残酷な真実を知っても復讐を止めることは考えられない。




でも、今だけは彼に甘えも見せても良いかもしれない……。



そんなことを思う時点で、私の中で今まで感じられなかった感情が芽生えているのが分かる。




それが恋だということに気付くのはまだ先のことだった。