今、蓬條依良は自らの過去を知られるのを嫌がっていた。




怒りを露にするほど、他人に知られるのを嫌がる過去とはどんなものだろうか?




良威に聞けば何か分かるだろうか?




それに、さっき玖下さんがポロリと漏らした言葉。




『依良の過去には貴女も関係して──』





途中で遮られてしまったけど、蓬條依良の過去に私も関係しているようだ。




でも、その心当たりは私にはない。




ならば、調べてる価値はありそうだ。




「篠原さん、参りましょうか」




玖下さんはまだ本調子ではない私を気遣ってか、おぶって部屋まで運んでくれた。