すると、篠田冬季は髪に手をかける。
手をずらせば外れるはずのない髪が外れ、そこから長い黒髪が現れた。
雪のように白い肌に、長い睫が伏せる凛とした眼差し。
それらはこれまでに見たことが無いくらい綺麗な女のものだった。
「お前、女だったのか……」
篠田冬季は男装をした女……。
もしかしたら、名前も本当のものでは無いのかもしれない。
「……私は蓬條の策略で父が起こした一家心中で両親を失い、姉と妹の人生を狂わされました。私自身も消えない傷を負いました」
篠田冬季は悔しそうに唇を噛むとYシャツの襟から見える傷痕に触れた。



