「…これをもちまして森ノ宮学園高校の体育祭閉会の言葉とさせていただきます」
校長先生の長い話が終わって解散になった。
恒例となっているハチマキ交換が行われるのは今だ。
あちらこちらで男女のペアができている。
満面の笑みの者。
真っ赤になっている者。
少し困っている者まで。
私はそんな光景を眺めながら1つ伸びをして校舎に戻ろうとしていた。
「鈴姉ちゃん!!」
かえで君の周りにもたくさんの女の子がいたのにそれを振り切って来てくれた。
ちょっとビックリして返事の声がうわずってしまった。
「鈴姉ちゃん、ハチマキって交換…する?」
そう上目遣いで言われてしまってはキュンとするに決まっている。
「し、ない…けど…
でも、かえで君はもっと違う人と交換するべきじゃないかな」
危ない危ない、交換しちゃうところだった。
このハチマキはラブレターも同然。
渡すのは告白することになる。
かえで君は私の弟で。
そういう意味で交換しようって言ってくれてるんだよね?
でも彼にはもっと彼女にふさわしい女の子が…
本当に思っているのに、思えば思うほど何故か胸が痛くなってきた。
その理由を深く考えることもなく
「そ、そっか…うん!ごめんね」
そう言って私のもとを去っていく彼の背中をただ見ていた。
「はあーーー疲れた!!」
制服に着替えて学校を出ようとする。
今日は私1人だ。
「おいおい、年寄りみたいだな」
後ろから声をかけるのはもちろん昴。
まあ、今日ぐらいは頑張ってたしいっか。
「いやー俺、凄かっただろ」
はっはっはっと笑う自慢野郎。
「そうだね、凄かったよ。
まさか1位になるとは思わなかった」
私がそう素直に誉めると昴は目を見開いて驚いている。
「な、なに?!」
「いや…鈴が珍しく褒めるから…」
どことなく顔が赤らんでいる。
照れてるの?
「そうだなぁーあんなに格好いい昴は初めて見たなぁー?」
ちょっと面白くなって調子に乗っていると昴は自分の口に手を当てて
「た、たんま…」
本当に照れ始めて何も喋らなくなったので私もそれ以上言うのはやめた。

