『鈴、後でリュウの所に行ってやってくれ。
お前の様子がおかしいと私に伝えてくれたんだ』
リュウは優しくて面倒見が良い。
周りのことをよく見ていて空気も読める。
きっと悟られちゃったんだな…
心配かけちゃったんだなぁー…
泣きじゃくって腫れぼったい顔をバチンと叩く。
頬がヒリヒリして痛い。
両手もジンジンする。
でも対する心は晴れやかで。
『行ってくる!』
そう言ってリュウの部屋へ向かった。
『リュウ!お父さんから聞いた、ありがとうね』
『そんなそんな!お嬢にお礼を言われることなんてしてやせんぜ!』
私を部屋に呼び入れて布団の上に座らせてくれながらニカッと笑って頭をかく。
『またまたー!いつも本当にお世話になってるよ、ありがとう』
そう言うとリュウは目のところに手をやって後ろを向いてしまった。
『お、お嬢…それはずるいですぜ…
漢を泣かせようなどと…!』
べ、別に泣かせたいわけじゃなかったんだけどな…
『ん?』
リュウは私が来る前、音楽を聴いていたようで机の上にヘッドホンが無造作に置かれていた。
『何を聴いてたの?』
そう聞くと、ああと言ってヘッドホンを渡してくれた。
『にゅーちゅーぶで音楽聴いてやした!』
へぇー…
聴くと激しいロック調で少し耳が痛くなった。
でもリュウはキラキラした目でこっちを見ているので本音など言えるはずがない……
いや、でも…それじゃあ今まで通りだ。
皆に遠慮して周りの目を気にして自分を偽って…
きっとリュウは私が本当のことを言ったとしても怒るような人じゃない。
『こういう曲調初めてだからあんまり良くわかんない…かも』
すると一瞬、少し残念そうな顔をしたがすぐに普段の笑顔に戻って
『すいやせん、ちょっとお嬢を試してみちゃいやした…
俺が聴いてる中でも最も激しいやつなんすよ。
だからお嬢が好みでないのもわかってて!本当のこと言ってくれるかどうか試したんです』
…リュウは優しくて面倒見が良い。
でもただ単に心配するだけじゃなくて、その先も考えてくれている。
私がちゃんと前に進めるように。
後ろから見守ってくれている。
リュウも他のみんなも、もちろんお父さんとお母さんも私の大切な家族。
切っても切れない縁で繋がれた家族。
たとえ家の外では秘密を持っていてもご託を並べても自分を偽っても、この家族の前でだけは自分をさらけ出そう。
何でも言える、何でも受け止める家族に。
…願わくば家の外でも自分をさらけ出せるようになれば良いんだけどな。

