好きになれとは言ってない

 こ、このままでは、なにをしに来たのかわからない、と焦る自分の前で、母親が言う。

「あら、いいじゃないの。
 もうこのまま呑みましょうよ~」

「あんた、友達の家のパーティに行くんだろうが」
と言うと、

「やあねえ。
 息子も彼女が出来ると冷たくなって。

 ねえ、遥さん」
と千佐子は遥に向かって言い出した。

「そうですよねえ、お義母さま」

 ……待て。
 お前、どっちサイドに立って物を言ってんだ、と思いながら、航は、遥の首根っこをつかんで引きずっていった。