「なんでもいいのよ」
と朝子が言い出す。

「付き合い始めの可愛い盛りじゃないの。
 なにあげても喜んでくれるわよ。

 幾ら大魔王様でも、書類突き返してくるみたいに、
『不許可だ』
とか言って返してこないでしょ」

 そごて、みんなが、やだ、言いそうーっ、と笑い出す。

 ……いや、笑いごとではないんだが。

 みんなが笑いながら、脱線していく中、朝子がぽつりと言ってきた。

「なんでも喜んでもらえると、私が信じたいだけなんだけどね」

 顔を上げて、にこっと笑い、
「遥っ、頑張ろっ」
と言ってくる。

 悩みはみんな同じか、と思いながら、遥は、うん、と頷いた。