いつか亜紀が言った言葉を思い出していた。

『今、嫌な未来が見えたわよ。
 課長はいつになったら言ってくれるのかしら、と老婆になったあんたが縁側で、ずっと考えてるところよ』

 ……ありそうです、とそのときも思った。

『っていうか、そんな年になったら、もう会社に来てないから、そもそも課長に会えてないですよねっ』

『そう思うんなら、今、この瞬間に、なんとかしときなさいよっ。
 ってか、しがみつかないでっ』

 縋るように亜紀の腕をつかみ、払われた。

 ……恐ろしい未来予想図だ。
 しかも、今にも現実になりそうで怖い。

 ちょうど、あの公園の前を通る。

 雪が降りそうに寒い中、航がネックレスをくれて、キスしてきた公園だ。

 振り向くと、航もそちらを見ていたが、遥の視線に気づくとそらしてしまった。

 亜紀さん……ありそうな未来です、それ。

 改めてそう思っていた。