自分であれを買いに行くと言うのも、ハードルが高すぎるしな。

 第一、買ったとして、なんと言うのだ。

『着てくれ』

 無理だ。
 航は、クリスマスソングの流れる街中に座り込みそうになった。

 いっそ、まどかに覚えさせようか。

『着テクレ』

 いや、まどかが覚えるほど、連呼する方が恥ずかしい。

 ああ、俺は今、真尋か、小宮か、今本真になりたい、と航は思う。

 そしたら、笑って言えることだろうに。

 ……大葉はああ見えて、言えなさそうだからな。

 そして、これからクリスマスが本当に来るというのなら、問題はプレゼントだ。

 付き合い始めて……

 いや、付き合っているのか? と甚だ疑問に思うほど、進展はないのだが。

 まあ、付き合っていると仮定して。

 プレゼントはこの間渡したから、という訳にもいかないだろう。

 いや、渡したい気持ちはある。

 非常にある。

 ものすごくある。

 遥の喜ぶ顔が見たいから。