好きになれとは言ってない






 真尋は最初から航に運ばせるつもりだったらしく、ちゃんと電車に乗れるように、紙袋の中には、鳥かごにかけるカバーまで入っていた。

 航が送ってくれると言うので、素直に甘えることにした。

 駅からの道道、航は話してはくれるのだが、何故かこちらを見ない。

 さっきはさっきで、スカートが短いからと言って見ないし。

 今度はなんなんですか。

 私はコート着てますよ? と思いながら、航の顔を覗き込むようにすると、
「……なんだ?」
と不機嫌にも聞こえる声で言ってくる。

「いえ、こっちを見て欲しいだけです」
とまだ酒が残っている勢いもあり、強気に言ってしまう。

「なんで、そっち向いているんですか、課長っ」
と言うと、航は、

「襲わないようにだ」
と言い出した。

 うーむ。
 これでは振り向いて欲しいと言えなくなったぞ、と思いながら、黙って横を歩いていると、航が言ってきた。

「怖いんだ……」

「え」