好きになれとは言ってない

 なんだかあそこで亜紀さんが私は売れていると連呼しているようだが。

 売れたい。

 ……買ってください、課長、とこちらを見もせずに、もう遠くへ行ってしまった航の後ろ頭を遥はひとり凝視していた。

 そのとき、一旦消えていた真尋が、宝迫とともに現れた。

 宝迫の手には、マイクがあり、真尋の手には鳥かごがあった。

 ん? 鳥かご?

「スペシャルゲストのまどかさんですー」
と宝迫からマイクを受け取った真尋が言う。

 初めてお会いするまどかさんは、淡いブルーと白の愛らしい姿をしていた。

 前の方で話している声が聞こえる。

「まどかさんって誰?」

「新海課長の鳥だって」

 違うよ。

「まどかって、新海課長の彼女の名前じゃなかった?」

「そりゃ、遥だろ」

 ありがとうございます。
 紛らわしい名前ですみません。

「でも、新海、いつか、携帯で、まどかって名前の電話番号見つめてたぞ。
 鳥に電話番号ないだろ?」

「浮気か?」