好きになれとは言ってない

 



「遥さん、此処は戦場です。
 そして、女の敵は女です」

 淡々とした口調で、優樹菜が言ってきた。

 クリスマスコンパの会場。

 いつもはカジュアル系の服が多い優樹菜だが、今日は可愛らしいワンピースを着ていた。

 社長から金一封あっての開催のせいか。

 まるで会社の行事であるかのように、みんな、いつものコンパより、改まった服で着ていた。

 まあ、クリスマスだしな、思い、それらしく飾られたホテルのホールを見回す。

 少し緊張気味に始まった立食パーティ形式の会だったが、うまくいっているようだった。

 此処は戦場、そして、女の敵は女だと、コンパ慣れしていない遥のために、わざわざ忠告してくれた優樹菜が、

「でも、私が貴女をお助けてできるのも此処までです」
とゲームに最初に出て来る村人みたいなことを言い出す。

「このあと、女同士が結託するのは、男が全員いまいちだったときだけです。

 目配せで、会を閉めて帰ろうとします。

 スポーツ選手並みのアイコンタクトで。

 でも、今日の場合、それはありえません」

 さすが、大魔王様の集められた精鋭、と会場を振り返り、優樹菜は頷く。