好きになれとは言ってない

 そのまま、また、しばらく黙って乗っていた。

 ああ、そろそろ降りる駅だな、と思ったが、航がこのまま終点まで行くのなら、自分も行こうと思っていた。

 今、離れたくない。

 土曜も日曜もこの先も、ずっと一緒に居たいから。

 そのとき、なにかが手の甲に触れた。

 航の指先のようだった。

 航は、前を見たまま、そっと探るように遥の手を握ってくる。

 航の目はこちらを見てはいなかったが、向かいの窓ガラスに映る自分たちの姿を見ていた。

「遥……。
 コンパが終わったら、言いたいことがある」

「……はい」
と遥は頷いた。

 降りよう、と航は立ち上がる。

「お父さんたち心配するから」