好きになれとは言ってない

 
 

 賽銭の集計をしていた遥は、何回数えても数え間違うな、と思っていた。

 ちょっと動揺が激しくて。

 一、二、三……

「八枚足りない~」

 いきなりそんな声がして振り向く。

「また、大葉さん~」

 なんで、突然、八枚っ、と思いながら文句を言ったが、大葉は笑っていた。

「大葉さん、お金数えてると、現れますよね」

「わかる?
 今月ももう金欠なんで、小銭の音でも振り向いちゃうよ」

 いよいよ、週末コンパだね、と自分よりも感慨深そうに大葉は言う。

「下準備とかいろいろお疲れさま。

 ……総務なのに」
という言葉には、新海に振り回されて大変だね、という響きが含まれているようだった。

「みんな、楽しみにしてるよ。
 入れなかった奴らも結構居るから、また次も開催してやってね」
と肩を叩いていこうとする大葉に、すかさず亜紀が、

「大葉さん、肩叩いたりするの、セクハラー」
とふざけて言っていた。