好きになれとは言ってない

 



 で――。

「俺と結婚して」

 そう口から出たあとで、

 はて?
 自分は今、なにを言ったのだろうな、と思っていた。

 遥もきょとんとしている。

 いや、俺がきょとんとしたいんだけど、と思いながら、勝手に口が繰り返していた。

「俺と結婚して」

 駄々をこねる子どものようだな、と自分で思う。

『買って買って買ってー』
と先に小学生になった航のランドセルを見て泣いたように。

 っていうか、こういうとき、もうちょっとスマートにやれると思っていたのに、なんで、俺は莫迦みたいに同じセリフを繰り返しているんだろう、と思う。

「結婚して」

 まるで、一度覚えたら、同じことしか言わなかった、インコのまどかみたいに。