「え?」

「それか、兄貴が来るから、自分は残って待ってるって言って」
と言う。

 なんだろな、と思いながらも、
「わかりました」
と遥は答えた。

 真尋はそのまま、みんなのところに戻っていった。

 なにか話でもあるのだろうか。

 しかし、どうするかな〜、着ぐるみ、と遥は空いている端の席に置いていた箱を見る。

 トナカイが二着になってしまったが。

 課長に着てもらうとか?

 ……次の日から、仕事に行きづらくなりそうだな。

 サイズ合わないだろうし。

 お色直し的に私が着替えるとか。

 違いがわからんうえに、意味がわからん、とか言われそうだな。

 そういえば、これって、どんな、と箱の中の着ぐるみを手に取ろうとした瞬間、遥の手を真尋が止めた。

 今、何処から湧いてきましたか、と思いながら、微笑んだ真尋に脅される。

「それ、直前まで開けないで。
 開けたら、祟るよ」

 なんだかわからないけど……。

「わ、わかりました」
とその迫力に答えていた。