好きになれとは言ってない

「じゃあ、亜紀さんは緊張しないんですか?
 小宮さんにかけるとき」
とつい、言い返してしまうと、亜紀は、少しの間のあと、こちらを見ずに、

「……するわよ」
と言ってきた。

 ほんっと可愛いな、この人……っ、と思ってしまう。

 でも、そうだ。

 此処でぐずぐず言っていても、亜紀さんに迷惑だし。

 撃たれているのなら、すぐに回収しなければっ、と既に航が撃たれていること前提で、遥が携帯を鳴らしかけたとき、航が給湯室の前を横切った。

 慌てて切ると、
「ほら、ご覧なさいよ。
 何事もなかったじゃない」
と亜紀が笑う。

 少し鳴ってしまったらしく、航が立ち止まり、携帯を出そうとしたので、遥は急いで、給湯室から飛び出した。

「わあっ。
 すみませんっ。

 もう切りましたっ」
と遥が叫ぶと航がこちらを見る。