好きになれとは言ってない

 




 やはり美味しかった焼きそばを食べ、航は夜道を歩く。

 真尋がまさか、遥を好きになるとは。

 あんな頓狂な女を好きなのは、俺くらいかと思っていたのに。

 そういえば、小宮にも気をつけろ的なことを大葉が言っていたし。

 何故、モテる遥、と航は腹を立てていた。

 確かに可愛いし、スタイルもいいし、脚も綺麗だし、面白いが。

 自分にとって重要なのは、面白いところと気が合うところ。

 それだけだ。

 綺麗な女なんて、幾らでも居る。

 現に今も真尋の店には、びっくりするような美人もたくさん居た。

 でも、なんだか遥は特別だな、と夜空を見上げる。

 吐いた息が白くて驚く。

 もうこんなに寒くなっていたのかと。

『やっぱり、クリスマスコンパにします?
 私、トナカイの格好とかしてもいいですよ』
と自分の隣りで言った遥の顔を思い出しながら、笑う。