好きになれとは言ってない

 此処に幾らも美人でまともな女性が溢れているのに。

 しかも、我こそは、と思って、みんにマヒロに声をかけられるのを待っているのに。

 いや、あの隅のカラオケ帰りらしい陽気なおばさんの集団とかは違うかもしれないが……。

 それなのに、よりにもよって、あんな落ち着きのない、妄想で突っ走って、インコを捕獲しようとしたり、トナカイを撃ち殺しに行こうとしたりする女を。

 何故だ……と思っていた。

 いや、それを口にすれば、いや、あんたこそ、何故なんだ、と訊かれるところだろうが。

「別にそんなんじゃないけど」
と前置きしたあとで、真尋は、

「休日なんていらないと思ってたんだけど」
と野菜を切りながら、こちらを見ずに語り出す。

「休日、なにもせずに、遥ちゃんとゴロゴロできたら、ちょっと幸せかな、とか思ってる」

 それだけだよ、と言いながら、
「はい」
と焼きそばを出してきた。

 相変わらず美味しそうな焼きそばを見ながら思う。

 ……どうしようか。

 かなり重症な気がしてきた……。