朝、駅のホームに来た航は驚いた顔をした。

「どうした、遥」

 また遥が待っていたからだ。

「課長、ポット入り、イカの足です」
と紙袋を差し出すと、

「……ありがとう」
と言われた。

 昨日、真尋の店に行く前に買っておいたのだ。

 袋の中を覗いた航に、
「三つもいらないぞ」
と言われたが、

「そんなすぐには腐りませんから。
 お友だちとお呑みになるときにでもどうぞ」
と言うと、

「そうか。
 ありがとう」
と言われる。

 せっかく買ってきたのだから、受け取らないと悪いかなと思ってくれたようだった。

 押し付けたようになってしまったな、と思いながら、あの、と訊いてみた。