好きになれとは言ってない

「あのー、楽しくお酒をいただいて、しかも奢ってもらったあとで、なんなんですが。
 私は別に課長とお付き合いしているわけでは……」

「じゃ、付き合いなさいっ」

「はい?」

「付き合って、結婚なさい。
 遥さんっ」

「はいっ」

「航と結婚してくださいっ」

 ……お義母さまにプロポーズされてしまいました。

 人生、初のプロポーズなんですが……。

 ちょっと嬉しいような。

 いや、やはり、ちょっと悲しいような、と思っていると、こちらの気持ちを読み取ったのか、真尋が、
「……ねえ、もういいから、寝て」
と言い出した。

 そのとき、車が昔の洋館風の大きな家の前に着いた。

 真尋が先に降りて、チャイムを連打している。

「父さん、門開けてー。
 出て来てー、引き取ってー、この酔っ払いーっ」