好きになれとは言ってない

「大丈夫です。
 明日は立ち直ります」
と言ってくるので、そうか、じゃあ、言い寄るなら、今日か? と反射的に思ってしまう。

 いやいや。
 これだけモテるのに、兄貴の彼女に手を出さなくてもいいんだが、と思ったとき、その人影が見えた。

 ドアの前に立ち、張り紙を見ている。

 げっ、と棚に戻しかけた皿をつかんだまま、止まる。

「どうしたんですか?」
と遥に訊かれた。

「ヤバイ。
 いや、別にヤバくはないんだけど。

 ……遥ちゃん、隠れてっ」
と言うと、遥が、は? という顔をした。