好きになれとは言ってない

「なっ、なんですか、それーっ!」

「いやあ、すごいよね、遥ちゃん。
 君、僕の事を神って言ったけど、僕は君を師匠と呼ばせてもらうよ。

 君は恋愛の師匠だよ。

 さすがの僕もそんなことなかなか言えないし、出来ないよ」

 じゃっ、と何故か、怒ってる風の小宮は行ってしまう。

「こっ、小宮さんっ。
 この話は……」
と手すりを持ち、すがるように見上げて言うと、もう踊り場の先まで行っていた小宮は上から見下ろし、冷ややかに言ってきた。

「大丈夫だよ。
 誰にも言わないよ。

 大葉さんと違って、して楽しい話でもないしね」

 じゃあ、と今度こそ行ってしまう。

 ちらと亜紀の姿が下に見えた気がしたが、今は気にする余裕はなかった。