好きになれとは言ってない

「ちゃんと家まで連れて帰ったんですね?」
と確認するように言ってくるので、何故お前に言われにゃならん、と思いながらも、

「ちゃんとおんぶして連れて帰った」
と言うと、小宮は、微妙な顔をする。

「今、おんぶとかずるい、と思ったけど。
 よく考えたら、そんなに酔わせておいて、ちゃんと家に連れて帰るってすごくないですか?」
と言ってくる。

「なんでだ。
 連れて帰らないとまずいだろう」
と言うと、

「真面目ですね、課長」

 そんなんじゃ、なにも発展しませんよ、と何故か、説教じみた口調で言ってきた。

 お前、遥が好きなんじゃないのか……。

「でも、おんぶっていいよね。
 こう身体が密着して」
と小堺は鼻の下を伸ばしていたが、

「いや、小堺さん。
 おんぶじゃ、手も使えないし、顔も遠いし、なにも出来ないですよ」
と大真面目に小宮は反論している。

 この男は、普段、なにを考えて生きてるんだろうな……。