好きになれとは言ってない

「っていうか、よく考えないとわからないのがちょっと怖いんだけど」
と言う亜紀に、

「いえ。
 ですから、今も、好きとか、どういう感じのことを言うのか、よくわからなくて。
 自分が課長が好きなのかどうか、わからないんですよ」
と言うと、

「いや、好きなんでしょうよ。
 それだけ気になってるのなら」
と言われた。

「どうでしょう。
 課長、変わってらっしゃるから、目が離せないだけなのかもしれません」

「いや、あんたも相当変わってるけどね……。

 っていうか、まだそんな戯言言ってたの?

 今朝は一緒だったから、日曜から課長のうちにお泊まりでもしてたのかと思ったわ」

「お泊まりとか出来ません。
 うち、実家なんで」
と言うと、

「……それ、恋愛するには、致命的ね」
と言われてしまう。