好きになれとは言ってない

「こっちこそ、お父さんに送ってもらって悪かったな」

 他に言いようがなかったから、『お父さん』と言ったとわかっていて、航が自分の父をお父さんと言ったことに、どきりとしていた。

 そして、気づく。

「あれ?
 お父さんは、課長を送っていったんですよね?

 誰がベッドまで連れてってくれたんでしょう?

 家に帰ったら、歩けたんでしょうかね?」
とあまりその辺の記憶がないので、適当に言うと、

「俺だ」
と言われる。

「俺がお前を背負ったまま、二階に上がったんだ」

「ええっ。
 そうだったんですかっ?

 課長がベッドに寝かせてくれたんですかっ。
 すみませんっ」

「ば、莫迦かっ、お前はっ。
 デカイ声で、誤解を招くようなことをわめくなっ」

 誰が聞いてるかわからないのにっ、と叱られる。

 す、すみません、と思いながらも、どうやって寝かせてくれたんだろうな……とちょっと興味が湧いてしまう。

 物のようにどーん、と背中から落としたり? と考えていると、
「……お姫様抱っこはしてないぞ」
と何故か航は言ってくる。