好きになれとは言ってない

 



 まどかに会いたい。

 遥の父と別れ、ひとり部屋に居た航はそんなことを思っていた。

 あれからずっと考えていた。

 俺は遥が好きなのだろうか。

 一緒に居ると楽しいし、他の男と居るとムカつくし。

 さっき、大葉でさえ、あまりに遥が褒めちぎるので、月曜会ったら殴ってやろうかと思ってしまった。

 好きなのだろうか。

 そして、遥は俺のことをどう思っているんだろうか。

『課長と帰りたかったんです』

 あれは、一体、どういう意味なんだ?

 ただ、一緒に帰りたい。

 ひとりが帰るのは寂しいから一緒に帰りたい。

 だが、それで、ひとりで俺が帰るのを待ってたりするのはおかしな話だ。

 遥は俺のことを好きなのだろうか。

 いやいや、待て待て。
 思い上がるな、と自分に言い聞かす。

『私、そういう大魔王様が好きなんです』

 あれだって、一般論っぽかったぞ。