好きになれとは言ってない

 だが、遥の話はそこで留まらず、流れて行く。

「大魔王様はお友だちを大事になさいます。
 みんなものこともリストラから守ってくれてます。

 そんな感じで少しは私のことも大事にして欲しいかなあなんて」
と可愛いことを言ってくる。

「……大事にしてるだろ」

「してません」

 いや、してないこともないだろうがと思いながら、
「じゃあ、どうしたら……」
と言いかけて、気がついた。

 微かな寝息が聞こえ始めていたことに。

「おい、遥?」

 ついに寝たのか、と思った頃、遥の家の灯りが見えてきた。

 家の前に誰か居る。

 遥の父と母だ。

 つい、どきりと身構えてしまう。

 近づき、頭を下げると、
「やあ、新海くんだったかね」
 ありがとう、と遥の父に礼を言われる。

 いえ、といいながら、やっぱり社長より緊張するな、と思っていた。

 おとなしげな人だが、自分を見る目に力がある。

 それは、娘を守りたいという力か。

 遥は俺の眼力が怖いというが、俺なんかよりよっぽどすごい目力だ、と微笑ましくそれを見た。