好きになれとは言ってない

 だ、誰だろう、と思ったのだが、大葉のようだった。

『新海、もう帰ったか?』
という声が少しこちらにも聞こえてくる。

「いや、ちょっと呑み足りなかったんで」
と航が曖昧に答えると、

『ひとりが呑んでんのか? 誘えよ』
と言ってきた。

 仕方なくというように航が、
「……遥と居る」
と白状すると、えっ!? そうなの? と大葉の声が跳ね上がる。

『なんだ。
 よかった。

 じゃあ、余計な心配だったな。
 いやー、小宮がさー、遥ちゃんに気があるみたいだから、気をつけろよって言おうと思ってたんだけど。

 そうか。
 邪魔して悪かったな』

 いやー、よかったよかった、と安堵している声に、ほんとにいい人だな、大葉さんって、と思って聞いていた。

『ああ、そうだ。
 遥ちゃんは鈍くて、全然気づいてなさそうだから、小宮が遥ちゃんに気があるみたいだって言うの、黙ってなよ。

 じゃ、月曜な。
 おやすみー』
と言って電話は切れた。

 丸聞こえですけど、と思いながら、赤くなる。

 いやいや。
 小宮さんが私にとかないと思うけどな。

 あの人、誰にでもあんな風だからな。

 そんなことを考えていたとき、しまおうとした航の携帯にメールが入った。