好きになれとは言ってない

 




 去りゆく小宮の車を見ながら、大葉は、おや? と思っていた。

 呑まなかったんなら、なんで車置いてってたんだろうな、と。

 わざわざ遥ちゃんに合わせて、電車でとか?

『いやー、本気にはなりたくないですねー』
という小宮の言葉を思い出しながら、いや、人間、本気になりたくないと語ったときには、大抵、本気になっている、と思っていた。

 まずいなー。

 小宮は、新海と違って、グイグイ押して行きそうなキャラだしな。

 遥ちゃんは、ぼーっとしているから、ぼんやりしている間に持っていかれそうだ。

 かと言って、新海も忠告して聞くような奴じゃないしな、と思いながら、思い出していた。 

『いや、いずれ、名前で呼ばないといけなくなるかな、と思って』
とからかうように言った自分に、航は、

『……お前、遥に気があるのか?』
と言ってきた。

 莫迦なのか……?