好きになれとは言ってない

 また真尋のところにでも寄っているのだろうか。

 真尋のところならまだいいが、何処か他所をふらふらしていたり。

 道に迷ったり、溝にはまったりはしていないだろうか。

「新海、なに考え込んでんの?」

「さあ?
 今なら、なにも気づかないかも」

 そんな声が後ろで聞こえていた。

 頭になにかがそっと載る。

 だが、そのまま考え事をしながら、酒を呑んでいると、一度、手許から携帯が消えて、また現れた。

 そういえば、遥に電話番号は教えてもらったが、一度もかけてないな、と思ったとき、大葉が笑って肩を叩いてきた。

「さ、呑もうぜ、新海」
とビールをこちらに向けてくる。