好きになれとは言ってない

「ああいや、だろうねって言ったのは、モテモテってところだよ」
と言ってくれたが、いや、私など相手にはしていない、のところではなかろうか、と思っていた。

「階段落ちかけたのを助けてくれたんだっけ?
 そういうの、恋に落ちたりしないの?」

「しませんね。
 小宮さんは、神ですから」

「神?」

「なんかこう、恋愛の、というか人生の神様なんです」

「……かなりチャラく見えるんだけど」

 いや、俺が人のこと言えた義理じゃないけど、と言いながら、懐疑的に真尋は言ってくる。

「いえ、そうなんですが」
と敢えて、チャラいというところは否定せずに遥は言った。

「私とは全然違う物の考え方をされる方で、すごく思い切りがよくて、感心してるんです」

「はあ、まあ、兄貴は遥ちゃんと似たタイプだからねえ」

「それに、小宮さん、きっと、落ち着いた美人の人をたくさん連れてきてくださとる思いますよ」
と微笑むと、

「いや、最近ちょっと好みが変わってきたらしくて。
 落ち着いてなくてもいいかなって思ってるんだよね」
と言ってくる。

 ああ、客層の話だよ、と付け加えて。