好きになれとは言ってない

 




 真尋を交えて楽しく会話していたのだが、やがて、小宮がトイレに立った。

 すると、真尋が食後の紅茶を出してくれながら言ってくる。

「どうして、彼を連れてきたの?」

「いえ、真尋さんの焼きそばが食べたいとおっしゃるので」
と言うと、

「そうなの。
 浮気相手を僕に見極めろと連れてきたのかと思ったよ」
と言われる。

「あのー、浮気って、私、そもそも課長と付き合ってませんし」

「じゃあ、兄貴とどっちにするか迷ってるとか?」

「すみません。
 私、そんなどっちにするかとか迷えるほどモテたことはありません……」

 ああ、悲しい告白をしてしまった。

 まあ、見ればわかるか、と思いながら、
「それに、小宮さんは、モテモテなので、私など相手にはしていませんよ」
と言うと、真尋はトイレの方を見ながら、

「だろうね」
と言う。

「……真尋さん」