好きになれとは言ってない

「そりゃ、みっちゃんは可愛いが、うちの嫁の方が胸がデカいぞ」

 どうやら、どちらも社内恋愛だったらしく、嫁自慢で揉め始める。

 なんだか一気に平和になったな。

 俺はなんだか平和じゃないんだが……と思ったそのとき、
「新海、七時には出るぞ」
と通りかかった大葉に肩を叩かれた。

 つい、振り向いて、
「なんで今日にしたんだ」
と文句を言うと、なんなんだ、という顔で言われる。

「じゃあ、来るなよ」
「行くよ」

 仲間内の出産祝いを渡す会だ、行かないわけにもいかない。

「遥ちゃんか?
 今、追いかければいいだろうが」
と言われ、

「見てたのか?」
と訊くと、

「いや、他にお前が動揺することなんかなさそうだから」
と笑って言ってくる。

「ところで、なんで、遥ちゃんとか呼んでんだ」
と大葉に言うと、からかうように言ってきた。

「いや、いずれ、名前で呼ばないといけなくなるかな、と思って」

「……お前、遥に気があるのか?」

「お前、実は、莫迦なのか……?」
と同期で見つめ合った。