好きになれとは言ってない

「権利……」
と呟いた航は上を見て少し考え、言ってくる。

「確かにないな。
 ちょっと心配しただけだ。

 夜道は暗いし」

 夜道が暗いのは、当たり前です、大魔王様。

 うちの姉など、夜道は暮れないから、何時まででも遊んで大丈夫と申しております、大魔王様。

「お前は方向音痴だし」

 ……そこは反論できないな。

 路地の白い猫を目印にしているなどと言おうものなら、ますます帰れと言われることだろう、と思っていると、航は溜息をついて言った。

「……まあ、真っ直ぐ帰れ」

 結局、そこに辿り着くんだな、と思いながら、
「わかりました。
 じゃあ、帰りますっ。

 失礼しますっ」
と言って、遥は駆け出した。