手術が終わるのをひたすら病室で待つ間、あたしとゆりとお母さんの間にはシーンとした空気が流れていた。
お母さんとゆりはお喋りな方だし、こんなの今までなら考えられない。
沈黙が苦しくて何気なくテレビをつけたけど、内容なんて一切頭に入ってこなかった。
それでも必死にテレビに集中した。
何か他のことに意識を向けていないと心が押し潰されそうで、耐えられなかったんだ。
3時間ほど経ったところで、お母さんだけが呼ばれてどこかに行ってしまった。
「お姉ちゃん……お父さん、大丈夫だよね?」
ゆりはお母さんの前では我慢してたのか、ここに来て泣き出した。
「……当たり前でしょ。大丈夫に決まってるよ」
「うん……そう、だよね……っ」
ゆりの泣き顔を見て、涙が出そうになった。
大丈夫。
大丈夫に……決まってるじゃん。
変なこと言わないでよ。
泣かないように歯を食いしばる。
ゆりやお母さんに泣き顔を見られたくない。
恥ずかしい……。
その一心で、瞬きを繰り返して涙を引っ込めた。