私が世界中を飛び回るようになっても、必ず持っていく荷物の一つに、オルゴールがある。 手のひらに乗るサイズで、大事なアクセサリーなんかを入れているんだ。 私が小学校に入学した年の誕生日に、両親からプレゼントされたものだ。 まだ、家族三人で幸せに過ごしていた頃――― 今でもちゃんとメロディを奏でるそれは、どこに行っても、私の心を癒してくれる。 “星に願いを” 母が好きな曲だった。 目の前の幸せそうな家族を見ていると、なんだか無性に父と母が懐かしく、心が締め付けられるように切なくなった。